『PERFECT BLUE パーフェクトブルー』|「あなたは誰?」 虚構と現実が溶け合う、悪夢の81分
いらっしゃいませ。
「名作BAR」へようこそ。
バーカウンター越しに
今夜もあなたと素敵な作品との出会いを
お手伝いするマスターの MasterY です。
本日ご用意した名作は、1998年に公開された今敏監督の衝撃的なデビュー作であるサイコホラー映画『PERFECT BLUE パーフェクトブルー』。
もし、インターネット上に「もう一人の自分」が現れ、あなたの行動を監視し
日記を綴っていたとしたら…?
アイドルから女優へ転身した主人公を襲う
現実と幻想の境界線が崩壊していく悪夢。
観る者の心を根底から揺さぶる
鮮烈な一杯となっております。

それでは、本日も「名作BAR」開店です。
作品のラベルはこちら
まずは、今夜ご提供する一杯の
基本情報からご紹介いたしましょう。
公開年: 1998年
監督: 今敏
脚本: 村井さだゆき
原作: 竹内義和
主なキャスト: 岩男潤子, 松本梨香, 辻親八, 大倉正章
上映時間: 81分
ジャンル: アニメーション, サイコスリラー, サスペンス
アニメーションだからこそ到達できた
サイコスリラーの金字塔です。
本当の「私」って誰?(あらすじ)
人気アイドルを辞め女優に転身した未麻(みま)。
しかし、きつい仕事が増える中で
アイドル時代の自分の「幻影」に悩まされ
次第に現実と幻想の区別を失っていきます。
本当の「私」って一体。
この問いに対して真剣に思い詰めてしまう未麻。
彼女がこうして自分を見失っている間にも
着実に彼女への魔の手が迫っているとは知らずに…。
そして、衝撃の展開があなたを待ち受けるのです。

「観る悪夢」とでも言うべき、忘れ難い「体験」になることでしょう。
マスターのテイスティングノート
本作の味わいは、一度観ただけでは
底が見えないほどの深みを持っています。
息をのむほど緻密な脚本と
アニメーションだからこそ可能な映像表現が
実写映画を超えるほどのリアリティと恐怖を生み出しています。

私が特に味わい深いと感じた「深み」を3点に絞ってご紹介させてください。
深み①:虚構が現実を侵食する、劇中劇との恐るべきシンクロ
本作の凄みは、未麻が演じる劇中劇「ダブル・バインド」の内容が
彼女自身の現実とシームレスにリンクしていく演出にあります。
今、私たちが観ているのは「現実の未麻」なのか
それとも「ドラマの中の未麻」なのか。
この巧みな脚本が、観客である私たちをも
現実と幻想の狭間に突き落とすのです。
深み②:観客すら騙される、今敏監督の映像トリック
観る者の頭を混乱させる、現実と幻想を入り混ぜた不安定な世界。
こんな映像をどうやったら作り出せるのかと
作り手の頭の中を覗いてみたくなるほどです。
実写では真似のできない、アニメーションの可能性を
極限まで引き出した今敏監督だからこそ成し得た
まさに圧巻の映像体験の連続を味わえるのが魅力です。
深み③:音がリアリティを突き刺す、実写を超える息遣い
この作品は、「音」の使い方が非常に秀逸です。
観る者の不安をじわじわと煽るような音楽
そしてリアリティを引き立てる立体音響。
これら「音」の存在感が、アニメーションでありながら
生々しい実写映画のような「息遣い」を作品に与え
未麻が感じる恐怖や混乱を肌感覚で伝えてくるのです。
マスターが愛する、今夜のワンシーン
私が本作で最も愛しているのは、特定の「シーン」ではありません。
鑑賞後に訪れる「解釈」という名の
最高に知的な遊びの時間そのものなんです。
何が現実で、何が幻想だったのか。
観ている最中から観終わった後まで
頭の中は疑問符でいっぱいになります。
だからこそ、「あの場面はこういう意味ではないか」
「いや、単なるミスリードかもしれない」と
自分なりに様々な解釈を巡らせることができる。
これが、ものすごく楽しいのです。
自分の解釈がピタリと当たった(かもしれない)時の
あの嬉しさと爽快感といったら、もう最高です。
たとえ自分の解釈が外れていたとしても
「うわっ、そうきたか!」と鳥肌が立ってしまうのですから
どちらに転んでも楽しいんですよね。
また、本作は誰かと一緒に鑑賞することを強く推奨します。
なぜなら、鑑賞後すぐに「自分はこう思った」
「いや、私はこう解釈した」
とお互いの解釈をぶつけ合うことができるから。
きっと、誰かに自分の思ったことを無性に話したくなるはずです。

エンディングを迎えてもなお、いくつかの疑問が頭から離れない。この「後を引く」感覚こそ、私が本作を愛してやまない理由なのです。
脳が痺れるような体験をしたい夜に、この悪夢はいかがですか?
『PERFECT BLUE パーフェクトブルー』は
甘美なカクテルというよりは
脳を直接揺さぶるような濃厚な一杯。
難しい理屈や伏線考察を「楽しみたい」
そんな知的好奇心を刺激する作品です。
この心揺さぶる一杯は、特にこんなお客様におすすめですよ。
- 先の読めない、秀逸なサイコスリラーやサスペンス作品を求めている方
- 「現実と夢」の境界線が曖昧になるような、幻想的な物語が好きな方
- 鑑賞後に「あれはどういう意味だったんだろう」と深く考察するのが好きな方
単なるエンターテインメントの枠を超え、あなたの価値観や「現実」の捉え方さえも揺さぶる力を持っています。考えすぎて眠れなくなるかもしれませんが、それすらもこの作品の醍醐味です。(現に私がそうでしたから、ご注意を!)

▼ 『PERFECT BLUE パーフェクトブルー』の予告編はこちら
お席のご案内(3つの鑑賞スタイル)
この名作を味わうには、いくつかの方法がございます。
お客様の鑑賞スタイルや「作品との向き合い方」に合わせて
3つの異なるお席をご用意いたしました。
ご自身にぴったりの方法で、この傑作と出会ってください。
スタイル①:「見放題サービス」で、今すぐ作品にアクセスする
『PERFECT BLUE パーフェクトブルー』が
現在楽しめる主なサービスはこちらです。
| サービス名 | 配信形態 | 特徴 |
| U-NEXT | 見放題 | 31日間の無料体験あり。他のアニメ作品も豊富。 |
| Prime Video | レンタル | Amazonプライム会員なら追加料金なし。気軽に体験可能。 |
| Netflix | 見放題 | オリジナル作品も強い、世界最大級のサービス。 |
| Hulu | 見放題 | 国内ドラマやアニメに強く、幅広いラインナップ。 |

まずはご自身の契約状況をチェックして
今夜の一杯に選んでみてはいかがでしょうか。
スタイル②:「TSUTAYA DISCAS」で、作品をご自宅へ
「今チェックした見放題サービスでは、残念ながら『PERFECT BLUE パーフェクトブルー』が見つからなかった」
「配信では取り扱いのない旧作も探している」
そんなお客様には
宅配レンタルサブスク【TSUTAYA DISCAS】
という選択肢もございます。
こちらは、ネットで作品を「定額リスト」に登録しておけば、ご自宅のポストにDVD/CDが届き、観終わったらポストに返却するだけのシンプルなサービスです。
今回ご紹介している「定額レンタル8」プラン(月額2,052円・税込)は
入会から30日間は無料でお試しいただけます。
「定額レンタル8」プランのサービス内容は以下の通りです。
- 「新作」「準新作」DVDは月間8枚までレンタル可能。
- 「まだまだ話題作」「旧作」DVDとCDは、月間8枚の制限はありません

通信環境を気にせず、ご自宅でゆっくりと作品世界に没入したい方は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
▼【TSUTAYA DISCAS】30日間無料お試しの詳細はこちら
※無料お試し適用は、「TSUTAYA DISCAS」の定額プランの利用開始時に「無料お試し」を利用したことがない方に限ります。(詳細は公式サイトをご確認ください)
※無料お試し期間終了後、通常料金で自動更新となります。
※30日間無料お試し期間中は「新作」はレンタル対象外となります。
スタイル③:「DVD/Blu-ray」で、この奇跡を「宝物」にする
「この忘れ難い作品は、やっぱり手元に置いて何度も見返したい」
そうお考えのお客様には
「形あるディスク」(DVD/Blu-ray)を手に入れるのが一番です。

ぜひ、お客様の大切なコレクションに加えてみてはいかがでしょうか。
▼ 『PERFECT BLUE パーフェクトブルー』DVD/Blu-rayの購入はこちら
もう一杯いかがですか?(あわせて味わいたい関連作品3選)
もし今夜の一杯を気に入っていただけたなら
この作品の味わいに連なる
素敵な一杯(作品)はいかがでしょうか。
関連作品 ①『妄想代理人』3話「ダブルリップ」
「晴美とまりあ」という二重人格の女性が主人公である「ダブルリップ」。
晴美の幸せに嫉妬し
互いの生活に介入しないという境界線をまりあが超えてしまう。
こうして「もう一人の私」に「私」が徐々に飲み込まれる。
先の展開が読めない非常に完成度の高いエピソードです。
「『パーフェクトブルー』へのセルフオマージュ」と
今敏監督自ら公言している有名なエピソードでもありますよ。
内容的には3話は「パーフェクトブルー」……へのオマージュか。自分の過去作品にオマージュというのもどうかと思うが、私の監督作品を見てきてくれた人にだけ分かるサインのつもりでもある。
KON❜S TONE 妄想の五「唇からトンカチがパラパパッパパー」より引用
https://konstone.s-kon.net/modules/moso/index.php?content_id=17
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『妄想代理人』のアニメシリーズは、1話ごとに今敏監督による解説が今敏監督のブログで公開されています。(後に書籍化)アニメ鑑賞とセットで作り手側の裏話も、楽しんでみてはいかがでしょうか。
▼ 『KON’S TONE「妄想」の産物』の購入はこちら
関連作品② 『ブラック・スワン』
今敏作品に影響を受けすぎた「ダーレン・アロノフスキー監督」の集大成です。
『パーフェクトブルー』の実写化版権を購入しましたが
結局実現せずにたどり着いたのが
本作の『ブラック・スワン』と個人的に解釈しています。
随所随所に散りばめられた今敏監督へのオマージュの数々を
あなたはいくつ見つけることができるでしょうか?
ストーリー展開はもちろんのこと
ナタリー・ポートマンの熱演にも
最後まで目が離せない名作ですよ。
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▼ 『ブラック・スワン』の予告編はこちら
関連作品③『スローターハウス5』
時間を超越してさまよう男性を描いたSF小説を実写化した作品。
監督は『明日に向かって撃て!』、『スティング』で有名なジョージ・ロイ・ヒル。
自らの意思と関係なく
自分の過去・現在・未来をとびまわるようになった主人公が
戦争での捕虜体験、飛行機の墜落事故など
さまざまな出来事をさまよう物語です。
今敏監督にとっても本作はとてもお気に入りの作品らしく
インタビューでは次のように語っています。
「パーフェクト・ブルー」や「千年女優」において描きたかった「普通と違う時間感覚」、「主観による時間」という言い方ができると思いますが、これはジョージ・ロイ・ヒル監督の『スローターハウス5』に触発された面が大きいと思います。
KON❜S TONE Interview01 2002年12月オーストラリアから、主に「千年女優」に関するインタビューより引用
本人の中では、現在も未来も過去も同時にあるという感覚、そしてそれを具体化し得た映像表現は大変素晴らしいと思います。
https://konstone.s-kon.net/modules/interview/index.php?content_id=2

彼の作品で重要なモチーフである「夢と現実」のシーン替わりも、『スローターハウス5』の影響を大いに受けているに違いないですね。今敏作品への理解をさらに深めたい方にはおすすめの1作です。
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▼ 『スローターハウス5』の予告編はこちら
お客様の心に、今すぐ逢いたい作品が訪れますように
私が紹介する素敵な作品たちに「今すぐにでも逢いたい」。
少しでも多くの皆さんに、そう思ってもらえるような記事をお届けしたい。
それが、この「名作BAR」のテーマです。
今夜の『PERFECT BLUE パーフェクトブルー』
いかがでしたでしょうか。
観終わった後、自分が立っている「現実」が少しだけ揺らぐような
深く記憶に残る体験をくれる作品です。

今夜ご提供したこの一杯が、あなたの心を潤し、人生を豊かにする「出会い」となれば、マスターとしてこれ以上の喜びはありません。またのお越しを、心よりお待ちしております。

