いらっしゃいませ。
「名作BAR」のMasterYです。
みなさんは、「コンゲーム」という言葉を聞いたことはありますか?
この言葉は、大企業や財力のある者を相手に対して行う信用詐欺のことを指します。
様々な策略を講じることで、相手からの信用を獲得した後に大金を巻き上げるやり口です。
作品紹介でこの言葉が用いられる際には、「騙したり騙されたりすることで、二転三転するようなストーリーのジャンル」を指すことが多く、最近の作品で言えば、『コンフィデンスマンJP』はまさにこのジャンルに当てはまります。
さて、本日紹介させて頂く作品は、この「コンゲーム」ジャンルの代表作として今なお評価され続けている傑作『スティング』!
それでは、本日の「名作BAR」開店です。
物語の概要
物語の舞台は1930年代のシカゴ。ある日若い詐欺師フッカーは、師匠と共に詐欺を行った。
しかし、大金を手にして喜んでいるのも束の間、その相手が不運にも大物ギャングのロネガンであり、彼の組織に師匠は殺されてしまう‥。
フッカーは師匠の仇を討つため、伝説の詐欺師ゴンドーフに協力を求める。
そして、ゴンドーフ指揮の下、ロネガンを華麗に出し抜いて大金を手に入れる壮大な計画がスタート。
ゴンドーフが巧妙に仕掛けた「The Sting」は観客をも巻き込む。映画が終わる頃には大勢の人たちが「騙された!」と頭を抱えてしまうことだろう。何を隠そう、私もその1人である。
ゴンドーフ vs ロネガン「ポーカー編」
本作の魅力 ~とどめの一撃!~
この映画、何と言っても音楽が最高に良い。オープニングから観客の耳を楽しませてくれること間違いなしだ。この映画を見終わると、しばらく「エンターテイナー」の曲が耳から離れないだろう。
そしてこの映画の中で度々登場するおしゃれなイラストにも注目だ。それは、タイトル画面のイラストから始まる。
The Players「プレイヤーたち」
The Set-up「仕掛け」
The Hook「引っ掛け」
The Tale「作り話」
The Wire「電信屋」
The Shut Out「締め出し」
そして最後の章はタイトルでもある
The Sting「とどめの一撃」。
それぞれのイラストがいちいちおしゃれでたまらない。このイラストを挟むことで観客も頭の中を整理しやすくなり、話についていけるようになるのかもしれない。なんとも粋な演出である。色遣いもすごく好きだ。
私の1番好きな場面
私の1番好きな場面は、ゴンドーフが昔の仕事仲間を集めるシーンである。あの鼻を触って「新しい仕事を始めるぞ」というサインには惚れ惚れした。最高にワクワクさせてくれる名場面である。この映画を見終わった頃には、ポール・ニューマンに惚れている人たちがたくさん増えているはずだ。
また、フッカーとスナイダー刑事の追いかけっこのシーンも楽しかった。このシーンを観て、すぐにルパン3世と銭形の追いかけっこのシーンに似ているなと感じたものである。
最後に
全体的に小気味良いテンポで物語が展開され、楽しさとワクワクが最後まで観客に押し寄せてくる。これが本作最大の魅力と言っていいだろう。
緻密に練られた本作の仕掛けには驚かされるばかりであった。常に相手の一歩先を読み続けて相手を出し抜こうとする。
そんな観ている側のアドレナリンが溢れるような心理戦が好きな人にとって、たまらない作品となっているはずだ。
最後の最後になるまでどうなるかわからない。このドキドキを味わうことができるのは、鑑賞者たちだけが許された至福の特権である。
それにしても、これほど「エンターテイナー」の曲が似合う作品も珍しいものだ。何度観ても、この組み合わせの心地良さに酔いしれてしまう。
編曲を担ったマーヴィン・ハムリッシュが本作への参加を決めた理由として、次の点を挙げている。
「彼 (= ロン・ヒル監督) はモンタージュやシークエンスを音楽のことまで計算しつつ組み立てていた」
キネマ旬報社編 (2019)『午前十時の映画祭10-FINAL プログラム』キネマ旬報社
ロン・ヒル監督はきっと頭の中で「エンターテイナー」をキャストの1人として考えていたに違いない。
名作との出会いは名曲との出会いでもある。そのことを改めて認識させてくれた素晴らしい作品であった。
作品を観る「目」だけでなく、作品を楽しむ「耳」まで育ててくれる。これこそが、名作に出会うことで得られる宝物なのであろう。
本日の名作『スティング』
【キャスト】
ヘンリー・ゴンドーフ:ポール・ニューマン
ジョニー・フッカー:ロバート・レッドフォード
ドイル・ロネガン:ロバート・ショウ
スナイダー:チャールズ・ダーニング
レイ・ウォルストン:J・J・シングルトン
【スタッフ】
撮影:ロバート・サーティス
編曲:マーヴィン・ハムリッシュ
ピアノ曲:スコット・ジョブリン
脚本:デイヴィッド・S・ウォー
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
【作品情報】
製作国:アメリカ
製作年:1973年
上映時間:129分
参考文献
キネマ旬報社編 (2019)『午前十時の映画祭10-FINAL プログラム』キネマ旬報社
関連作品①『明日に向かって撃て』
『明日に向かって撃て!』(1969)
脚本 : ウィリアム・ゴールドマン
監督 : ジョージ・ロイ・ヒル
メインキャスト:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード
『スティング』も大好きだが、同じくらい私は『明日に向かって撃て!』も大好きである。特にラストシーンは、一度観たら忘れられない。様々な作品でオマージュされるほど、このラストシーンが後世の作り手たちに与えた影響は計り知れない。
『スティング』でポール・ニューマン&ロバート・レッドフォードのコンビにハマった人には、素直におすすめできる。これまた文句無しの名作である。
関連作品②『オーシャンズ11』
『オーシャンズ11』(2001)
脚本:テッド・グリフィン
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
こちらは、ジョージ・クルーニー&ブラッド・ピットが名コンビとなる1作。
若き日のロバート・レッドフォードは、ブラピにとてもよく似ている。
だからこそ、『スティング』のフッカーにブラピを、『オーシャンズ11』のラスティにロバート・レッドフォードが重なり合う。
そんな時代を超えた名作同士の繋がりを楽しむことができるのが最高だ。
レッドフォードのお次は、ブラピでコンゲームを楽しんでみてはいかがだろう。
関連作品③『コンフィデンスマンJP』
『コンフィデンスマンJP』(2018)
脚本:古沢良太
演出:田中亮、金井紘、三橋利行
日本のコンゲーム代表作と言えば、『コンフィデンスマンJP』に尽きると言っても過言ではない。
『ALWAYS 三丁目の夕日』、『探偵はBARにいる』、『リーガルハイ』など様々な名作を生み出してきた古沢良太。彼が豪華俳優陣たちと共に仕掛けた「嘘と真実」の数々をあなたはいくつ見破れるか。
コンゲームとは何か。そのことがよくわかる痛快な1作となっている。劇場版が3作品製作されており、そのことからもこの作品の人気度が窺える。
脚本と併せて『コンフィデンスマンJP』の世界を味わい尽くすのもおすすめだ。
それでは、次の名作でお待ちしております。
コメント
「エンターテイナー」きっと誰もが聞いたことありますね
テンポよく、陽気で、聞いてるだけでワクワクする音楽
『スティング』、観たい映画リストに追加しました
コンゲームに巻き込まれないよう気をつけなくっちゃ!!
まおさん、コメントありがとうございます!
「エンターテイナー」の曲は確かお笑い芸人のネタでも使われていましたよね!
聞いてるだけでワクワクする曲って最高ですよね。
ぜひ『スティング』を観て、
「コンゲーム」の世界に巻き込まれちゃって下さい!