『阪急電車-片道15分の奇跡-』|電車は今日も乗客たちの人生を運ぶ
いらっしゃいませ。
「名作BAR」へようこそ。
バーカウンター越しに
今夜もあなたと素敵な作品との出会いを
お手伝いするマスターの MasterY です。
本日ご用意した名作は、2011年に公開された
観る人の心をそっと温めてくれる映画『阪急電車-片道15分の奇跡-』。
関西が誇る、あの「あずき色の車体」と
少し「レトロな内装」が特徴的な阪急電車。
本作は、その中の一路線、阪急今津線を舞台にした作品です。

それでは、本日も「名作BAR」開店です。
作品のラベルはこちら
まずは、この心温まる一杯の基本情報からご紹介いたしましょう。
公開年:2011年
監督:三宅喜重
脚本:岡田惠和
主なキャスト:中谷美紀、戸田恵梨香、宮本信子、南果歩、谷村美月、有村架純、芦田愛菜
上映時間:119分
ジャンル:ドラマ
たった片道15分の路線で
これほど豪華なキャストたちの人生が交錯していく。
まさに奇跡のようなアンサンブル・ドラマです。
片道15分の奇跡を乗せて(あらすじ)
宝塚駅から西宮北口駅まで、片道わずか15分の「阪急今津線」。
あずき色の電車に偶然乗り合わせた、見ず知らずの乗客たち。
それぞれの人生がほんの少し触れ合う時
優しく温かな奇跡が動き出します。
マスターのテイスティングノート
原作小説の素晴らしさを少しも損なうことなく
映画ならではの魅力を加えて、見事に心温まるお話を届けてくれた。
それが本作の素晴らしいところです。

私が特に味わい深いと感じた「深み」を3点に絞ってご紹介させてください。
深み①:原作の心を凝縮した、脚本の職人芸
2時間という尺の中に、あの素晴らしい群像劇をよくぞここまで凝縮できたものだ、と感嘆しました。
脚本を務めたのは、名手・岡田惠和氏。
彼はインタビューで
今回の僕の仕事は意外と2時間の枠に
映画『阪急電車』パンフレットより
収まりそうで収まりにくい小説を脚本に置き換え、
映画として素敵なものにしていくことでした。
と語っています。
物語の冒頭で登場人物たちを巧みに紹介していく
映画オリジナルのアレンジ。これぞ岡田氏の凄腕です。
このおかげで、お客様(観客)は
登場人物の多さに混乱することなく
すんなりと物語の世界に没入できるのです。
深み②:耳が安心する、奇跡のキャスティング
本作のキャスティングは、今から思えば驚くほど豪華です。
翔子役の中谷美紀さん、時江役の宮本信子さん。
あの難しい役どころを堂々と演じきれるのは
このお二人しかいなかったでしょう。
そして、戸田恵梨香さんや有村架純さんの関西弁が、実に心地良いです。
それもそのはず、お二人とも兵庫県のご出身です。
主要キャストに関西出身者の割合が非常に多く
ネイティブな方々が喋る関西弁は
観ていてとっても「耳が安心」いたします。
さらに、宝塚ホテルの従業員役として
あの大杉漣さんが特別出演されていることにも触れさせてください。
本当にわずかな時間ですが
その柔らかな笑顔と佇まいは
相変わらずいい味を出しておられました。
深み③:臨時列車59本が映す、あずき色の「美学」
本作は、実際の阪急電車や駅で撮影が行われています。
そのため、小説で想像していた風景が
「画」として目の前に広がる楽しみがありました。
驚くことに、映画の撮影のために
臨時列車を走らせてもらったというのです。
本数はクランクイン前に走らせた
映画『阪急電車』パンフレットより
ロケハン用も含めて、なんと59本!
通常列車が10分おきに運行する中でのこのご尽力……
阪急電車関係者の皆様、本当にありがとうございます!
と頭が下がる思いです。
おかげさまで、あずき色の車体が持つ独特の「美しさ」を
私たちは存分に味わうことができます。
私はこの作品ですっかり阪急電車のファンになりました。
宝塚市国際観光協会が
ロケ地巡りプランを案内してくれていますので
こちらを片手にお散歩してみるのはいかがでしょうか。

私は「小林駅」で降りて、翔子のように「豚まん」を食べてみたいものです。
マスターが愛する、今夜のワンシーン
私の1番好きな場面は、とあるカフェでの出来事。
ミサ(戸田恵梨香)の親友マユミ(相武紗季)が
ミサの彼氏であるカツヤの携帯電話を真っ二つにへし折り
お冷の中へと放り込む場面です。
この場面は原作にはなく、映画オリジナルのアレンジ。
原作を読んでいた私は
淡々とアドレスを消すだけだと思っていましたから
まさかの行動に思わず吹き出してしまいました。
このアレンジは痛快です。
これはもう、マユミ役を演じた相武紗季さんだからこその名場面でしょう。
『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~』での華麗な「舌打ち」を思い出された
お客様もいらっしゃるのでは?

いやあ、相武紗季さんはやっぱりこうでなくっちゃ
と膝を打つ痛快さでした。
優しい勇気が欲しい夜に この電車はいかがですか?
本作は、派手な事件が起きるわけではありません。
ですが、電車でたまたま隣に座った人の優しさや
見知らぬ人のささやかな勇気が、誰かの心を救うことがある。
そんな「小さな奇跡」を信じさせてくれる作品です。
この心温まる一杯は、特にこんなお客様におすすめです。
- 人の優しさに触れて、疲れた心を癒したい方
- 大きな一歩ではなく、半歩だけ前に進む勇気が欲しい方
- 関西の空気感や、あずき色の阪急電車が好きな方
私たちが日常でやり過ごしてしまいがちな小さな「善意」や「出会い」の大切さをそっと教えてくれますよ。

▼『阪急電車-片道15分の奇跡-』予告編はこちら
お席のご案内(3つの鑑賞スタイル)
この名作を味わうには、いくつかの方法がございます。
お客様の鑑賞スタイルや「作品との向き合い方」に合わせて
3つの異なるお席をご用意いたしました。
ご自身にぴったりの方法で、この傑作と出会ってください。
スタイル①:「見放題サービス」で、今すぐ作品にアクセスする
『阪急電車-片道15分の奇跡-』が現在楽しめる
主なサービスはこちらです。
| サービス名 | 配信形態 | 特徴 |
| U-NEXT | 見放題 | 作品数No.1。31日間の無料トライアルあり。 |
| Prime Video | レンタル | プライム会員ならすぐにレンタル可能。 |
| DMM TV | レンタル | アニメやエンタメに強い。 |
| TELASA | レンタル | テレ朝系作品も豊富。 |

まずはご自身の契約状況をチェックして
今夜の一杯に選んでみてはいかがでしょうか。
スタイル②:「TSUTAYA DISCAS」で、作品をご自宅へ
「今チェックした見放題サービスでは、残念ながら『阪急電車-片道15分の奇跡-』が見つからなかった」
「配信では取り扱いのない旧作も探している」
そんなお客様には
宅配レンタルサブスク【TSUTAYA DISCAS】
という選択肢もございます。
こちらは、ネットで作品を「定額リスト」に登録しておけば、ご自宅のポストにDVD/CDが届き、観終わったらポストに返却するだけのシンプルなサービスです。
今回ご紹介している「定額レンタル8」プラン(月額2,052円・税込)は
入会から30日間は無料でお試しいただけます。
「定額レンタル8」プランのサービス内容は以下の通りです。
- 「新作」「準新作」DVDは月間8枚までレンタル可能。
- 「まだまだ話題作」「旧作」DVDとCDは、月間8枚の制限はありません

通信環境を気にせず、ご自宅でゆっくりと作品世界に没入したい方は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
▼【TSUTAYA DISCAS】30日間無料お試しの詳細はこちら
※無料お試し適用は、「TSUTAYA DISCAS」の定額プランの利用開始時に「無料お試し」を利用したことがない方に限ります。(詳細は公式サイトをご確認ください)
※無料お試し期間終了後、通常料金で自動更新となります。
スタイル③:「DVD/Blu-ray」で、この奇跡を「宝物」にする
「この心温まる作品は、やっぱり手元に置いて何度も見返したい」
そうお考えのお客様には
「形あるディスク」(DVD/Blu-ray)を手に入れるのが一番です。

ぜひ、お客様の大切なコレクションに加えてみてはいかがでしょうか。
▼ 『阪急電車-片道15分の奇跡-』DVD/Blu-rayの購入はこちら
もう一杯いかがですか?
(あわせて味わいたい関連作品3選)
もし今夜の一杯を気に入っていただけたなら
この作品の味わいに連なる
素敵な一杯(作品)はいかがでしょうか。
関連作品①:『メタモルフォーゼの縁側』
なんとなんと!
『阪急電車』で孫(芦田愛菜)とおばあちゃん(宮本信子)を演じた
あのお二人が、時を超えて「嬉しすぎる再共演」を果たした作品です。
今回は17歳の女子高生と75歳の老婦人として
「血縁」ではなく「BL漫画」で繋がる「ベストフレンド」役。
二人が幸せそうに好きなものを語り合う姿は
愛くるしいほど眩しいです。
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関連作品②:有川浩 (2010) 『阪急電車』幻冬舎文庫
鑑賞後、ぜひ原作の『阪急電車』にも乗車してみてください。
私のおすすめは、故・児玉清さんの
素敵な解説が収録されている文庫本版です。
有川浩さんの作品が大好きな児玉さんの気持ちが詰まった文章は
読後の余韻を何十倍にも膨らませてくれます。
映画との違いを味わうのもまた一興。
この小説を片手に、阪急今津線へ出かけるのも素敵ですね。
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関連作品③:児玉清 (2017)『ひたすら面白い小説が読みたくて』中公文庫
「まだまだ児玉清さんの解説が読みたい」。
そう思われたお客様、ご安心を。
芸能界イチの読書家であった
児玉さんの「作品解説」だけを集めた
贅沢すぎる一冊が存在します。
彼の知的でユーモア溢れる解説に触れれば
「ひたすら読みたくてしょうがない小説」が
どんどん膨れ上がっていくことでしょう。

実は、「名作BAR」のサブタイトル「ひたすら面白い作品に逢いたくて」は、児玉清さんの本書へのリスペクトを込めたものなんです。
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お客様の心に、今すぐ逢いたい作品が訪れますように
私が紹介する素敵な作品たちに「今すぐにでも逢いたい」。
少しでも多くの皆さんに、そう思ってもらえるような記事をお届けしたい。
それが、この「名作BAR」のテーマです。
ぜひ、お客様の人生が豊かになるような
素敵な鑑賞体験となりますように。

今宵の一杯は、この心温まる名作で決まりですね。またのお越しを、心よりお待ちしております。
参考文献
- 東宝(2011)『阪急電車-片道15分の奇跡- 映画パンフレット』東宝

